好 -kou

繊細人を自称し、香り・匂い・音・服好き。音楽を聞くこと書くことが好き。植物動物も好き。

眠れない夏の夜に思い出したこと。

こんばんは、2021年8月27日、金曜日。

 

明らかになったとして読むかは分からないが、探している本がある。

 

20年以上も前だろうか、小学校の3年生から4年生、よりも低学年の頃に読んだように思う。

おばあちゃんが経営していた美容院でのこと。

他にも数種類の漫画が置いてあった。美容院というと週刊誌が置いてあることが多いと思うが、それは週刊誌にちょっと載っている漫画ではなく、単行本だった。

 

以下に覚えていることを挙げていくが、あてにならないかもしれない。

 

 

・タイトルは漢字のみの漫画。

・数巻の続き物。

物語の要素を書き出すと、
・会社員だったか、成人男性が主人公。
・彼女なのか妻なのか、とにかく女性と同棲している。
・その女性は猫が好きなためか、数匹の猫も暮らしている。
・男性は猫に関心がない。それどころか、鬱陶しく思っている。
・男性の少々暴力的な言動が見られる。ただし、容姿は優しい。

 

 

そんで、物語に関して特に強く覚えているのは、次のようなものだ。

―――

ある日。

男性―彼氏か夫か―の暴力・暴言に耐えられなくなった女性はついに家(アパート?)を飛び出す。

男性はひとりになる。

猫たちも皆、男性とともに残される。

で、男性は一人で暮らしている。出て行った女性に対して怒りを募らせている。

猫たちも、女性飼い主が居なくて寂しい。

男性の足にすり寄ると蹴とばされる。

猫も生きているから食事も排泄もしなきゃならない。

もともと鬱陶しく思っていた猫。まして世話などとんでもないといったところか、女性が残していった猫たちを邪魔だと感じた男性は、猫たちを段ボールに入れ、川に流してしまう。

流れていく段ボール。そこからは猫たちの鳴き声が聞こえている。

男性は突然川に飛び込み、猫の入った段ボールを抱きかかえ、陸にあげる。

大きな声で泣きながら、謝っている。猫に対してか女性に対してか、今となっては分からないが。

男性は猫たちを家に連れて帰る。

出て行った女性を猫たちに投影しながら、猫たちとともに暮らしていく。

―――

 

 

当時から私は猫が好きで、その時うちにも猫がいた。だから、男性が猫を蹴とばすシーンはとても怖く、悲しかった。「トラウマ」も言い過ぎではない。

また、猫たちを川に流したすぐあとに、自身で救い上げ、さらに泣きながら謝るのを見た時と、その後猫たちと一緒に暮らしていくことを決めた男性を見た時は、自分まで涙が出るのを堪えられず、おばあちゃんに顔を見られないよう本で顔を隠したようにも思う。

猫を川から上げたあたりから、あの男性は人が変わったように優しくなった。

幼くておバカで物語を読み取る力なんてなかったはずの当時の私でも、涙することはできたんだな。

 

悲しいが、おばあちゃんはもういないし、美容院も漫画も、もうない。